JTBの乱

甥っ子がこの春小学生に上がることもあり、僕と甥っ子の二人で母親からUSJへの男二人旅がプレゼントされた。

旅というものは準備が大変で、旅行自体は楽しい物なのだが、その前の段取り次第でその旅行の良し悪しが左右されると言ってもいいだろう。

そんな旅行の準備なのだか、電車やホテル、今回はUSJということもあり、そのアミューズメントパークのチケットまで手配する必要があった。

なかなか大変な作業であるが、僕はその準備には一切参加されることなく、母親一人で手配する事となった。

そもそも僕には事前にUSJへ甥っ子と行ってくれないかという母親からの打診があっただけで、僕はその案に二つ返事で承諾しただけである。

甥っ子の春休み中に行くんだなということは分かってはいたが、詳細は全く聞かされていない。日程だけ聞かされて、次第にその日が近づいてくるのをただ漠然とした不安とともに過ごしていた。

旅行の日程は土日なのであるが、母親がチケットを持ってきたのはその週の木曜日だったと思う。

ネットも使えない母親が、USJの旅行を手配するのはさぞ大変だったろうと聞いたら、JTBへ行って手配してもらったとのことであった。

なるほど、大手旅行代理店に頼めば、一泊二日の国内旅行の手配など訳もないだろう。母親は嬉々として手配したチケットを手に、自分の手柄を説明してくる。

行きは特急のグリーン車であること、ホテルはUSJからすぐであること、入場券は2日分あること。説明を聞きながら、甥っ子との二人旅を空想し、楽しい気分に浸っていた。

母親はチケットを手に、旅行の段取りを一通り僕に説明し終わると、そのチケットをJTBで貰ったであろう封筒へしまい、傍らのディズニーのビニール袋へ押し込んだのである。

その一連の所作にとんでもない違和感を覚えたので恐る恐る聞いてみる。「僕たちはUSJに行くんだよね?その袋はおかしくない?」

もっともな意見であるが、母親はその違和感をイマイチ重大ではないと考えているらしい。

「その袋はどうしたの?」

続けて問う僕に、「JTBでもらったのよ。」

この答えがルックJTBで行くUSJ男二人旅の不安のピークであったことは、ここに書いておかねばなるまい。

 

後述ですが旅行は終始楽しく、快適に過ごせました。JTBさんありがとう。ディズニーのビニール袋を持っていく勇気はなかったので、家に置いていきました。

 

おしまい